2009年10月7日水曜日

ゲージの話を幅広く

 鉄道に興味を持ち始めると最初に車両に目が行き、続いて線路のレールの幅(軌間:ゲージ)の知識を持つ方が多いのではないでしょうか。

現在日本で使われている主なゲージは次のとおりです。
1435mm(国際標準軌) 新幹線、京急、京成、阪神、阪急、京阪、近鉄の一部
1372mm 京王、都電、都営新宿線、函館市電
1067mm JR(国鉄)在来線ほか多くの私鉄
762mm 軽便鉄道に多用。黒部峡谷鉄道、三岐鉄道の一部

 半端な数字のようですが、これは順番に4ft(フィート)8inch(インチ)1/2、4ft6inch、3ft6inch、2ft6inchです。12インチが1フィートですので、標準軌以外は4ft1/2、3ft1/2、2ft1/2とあらわせます。

 さて、国際標準軌が何故この幅かという説明の一つに、二人並んで座る馬車の幅が元だという説があります。現在の通勤電車の一人当たりの幅が460~480mmですが、これはくつろげるサイズではありません。一人当たり60cmもあればだいぶゆったりしてきますので、車輪の間に座席二列を設置する前提で、車輪や客室(キャビン)の揺れなども考えれば、車輪の幅は140cmぐらいに落ち着いてきます。
 車軸の交換の便宜なども考えると、デファクトスタンダードになっていったのでしょう。荷車にも採用されていったのだと思われます。工業が発展してくると、例えば鉱山で荷物を運ぶ需要が出てきます。街道のように石畳を整備するのも面倒なので、板敷きで通路を確保します。踏み外すと面倒なので外れない工夫がされていき、L字のガイド型に作って外れないようにしたり、あるいは車輪にフランジ(つば)をつけるようになります。溝の中を走らせても良いようですが、溝が詰まると面倒です。こうして今の鉄道のレールと車輪の形態に近づいていくのです。
 さらに産業が発展し、ついに鉄道の動力が人力や畜力(牛馬)から機械動力に進化します。蒸気機関車が誕生します。動力が進化しても引っ張る車両は変わりませんから、レールの幅も同じまま鉄道が進化していくのです。

 さて、1372mmというゲージが都電と、京王本線、都営地下鉄新宿線、函館市電で使われています。これはもともと東京馬車鉄道という私鉄のゲージです。何せ馬ですから落し物の問題もあって電化されましたが、線路は引きなおさなかったので、そのまま都電へ引き継がれていきます。
 日本の鉄道の大半が国鉄(JR)と同じ幅なのは、貨物を直通させる狙いからきています。ほかにも中古の車両を使うためであるとかの理由もありますが、お客さんと違って貨物には乗り換えてもらえません。逆に直通や共用を目的にしない鉄道は別のゲージでも構わないことになります。したがって市内や近郊の短距離移動の鉄道は関西を中心に標準軌を採用する傾向が出てきました。
 さて、東京近郊の場合、今の地下鉄直通に似た発想で都電(当時は東京市電)に乗り入れを考える鉄道がありました。京王、京成、京急(当時京浜)がそうです。京急は標準軌で創業しながら、乗り入れのために改軌を実施し、連結運転や高速運転を始めるようになると再び標準軌に戻すという面倒なことをしています。京成も都営地下鉄浅草線を介した京急との三者相互乗り入れのために、標準軌へ改軌しています。京王はそのまま歴史を積み重ねましたが、都営地下鉄新宿線と相互乗り入れを開始することになります。このとき浅草線とゲージが異なることを気にした東京都が改軌を提案したところ、『もともとアンタのところに合わせたんだ!』と言い返されたという噂があります^^;。さらに都営三田線は東武との直通を念頭においていたので1067mmで開業し、都営地下鉄は三種類のゲージで運転されることになったのです。

 相互乗り入れですが、ゲージが合えば良いわけではありません。車両のサイズや、信号、無線などの保安設備、そして電車なら電気方式の問題があります。新幹線は交流2万5千ボルトですが、東海道山陽新幹線は西日本の周波数で、東北上越系統の新幹線は東日本の周波数です。東京駅で線路が繋がっていないのは、こんな理由もあるのです。