2009年8月28日金曜日

トラブル回避と寄り道

 ぐっすり眠った翌朝、朝風呂と朝食を頂いて9時半にチェックアウト。
 曇り空ですが爽快な気分で磐梯熱海駅へ向かいます。なにやらスピーカーを通して、
声が聞こえます。そういえば投票日も近いし選挙カーかな?いや、違う。

「川桁駅で発生しました信号機トラブルにより、ただいま運転を見合わせております」
 ワチャー
「猪苗代、若松方面へはバス輸送の手配を取っております」
 うわぁ

 昨日宿を案内してくれた駅員さんが必死で放送と誘導を行っています。お礼を言いた
かったのですが、それどころではありません。時刻表では9:59に郡山行きと会津若松
行きがすれ違いで発車します。基本プランとしては
 1.会津若松から会津鉄道、野岩鉄道、東武鉄道を経由して栗橋からJRに戻って帰宅
 2.1が無理なら会津若松観光、折り返して郡山経由で帰宅(新幹線利用もアリ)
 3.郡山から東北本線で帰宅。途中下車アリ
バス代行、それも緊急対応となるとなおさら時間が読めません。プラン3を行動の中心に
変更しました。8:46に磐梯熱海を出た喜多方行き快速が川桁の手前から折り返してきて、
猪苗代方面の乗客をバスに誘導し、この列車をそのまま臨時郡山行きに充てるようです。

 とにかく郡山へ行くことにします。ガラガラの臨時郡山行きに陣取りました。運転指令との
やり取りが聴けるように最後尾の乗務員室直近です。
「郡山からの電車が到着次第、発車しま~~す!」
 え?出したの?時刻表をめくると、本来私が乗りたかった会津若松行きです。磐梯熱海から
バス代行が決定したので、そのまま出したのでしょう。当初は10:40ごろとアナウンスしていた
臨時郡山行きは数分遅れ(?)で発車しました。郡山までは15~20分ですから11:19に郡山を
発車する黒磯行きに乗れそうです。

 11時過ぎに郡山着、すぐに黒磯行きに乗り換えます。まだ空席が残っていましたが、11:15
着の福島発の列車からの乗り継ぎが多く、立ち客も随分出ました。東北本線とは言っても、
2両編成のワンマン運転です。それなりの規模のある地方都市で、1時間に一本程度のそれも
等間隔でない列車ダイヤでこれでは、合理化もやりすぎではないでしょうか。もっとも
予想通り20分ほど走った矢吹までに立ち客は解消されましたが。

 列車は快調に白河の関を越えて12:21黒磯着、14分の待ち合わせで宇都宮行きが発車するので、
タバコを吸って食料を買い込みます。もしかしたらとも思いましたが、駅弁はありません。
結局おにぎり2個とペットボトルのお茶になりました。
 もうこの先、帰路にJRの未乗区間はありませんが、このまま帰宅するのも業腹です。私の
大好きな国鉄型ディーゼルカーに乗らずに帰るのは面白くありません。そこで宝積寺から烏山線に
立ち寄ることにしました。13:14宝積寺着。13:36発の烏山行きがありますが、時刻表では
13:20着の列車がそのまま折り返すようです。少し明るく、そして暑くなってきたホームの
ベンチで、夕方のラッシュ時まで昼寝をむさぼるディーゼルカーを眺めながら、おにぎりの
ビニールをはがすのでした。

 国鉄制式エンジンは載せ換えられましたが、車輌重量の関係もあるのか、独特の重みのある
エンジン音とともに烏山線のディーゼルカーが入ってきました。烏山線はここ起点駅の
「宝積寺」と途中駅に「大金」があり、昔から縁起を担いだ切符が販売されたりしていました。
車輌も縁起を担いで七福神をあしらっています。


 13:36定刻発車。一輌運転のワンマン列車です。以前に乗った印象が薄れていて、こんなにアップ
ダウンが激しい路線だったのかと戸惑いました。田を掻きわけ丘を越え川を渡り、14:10烏山着。
 前に来たときは「東力士」の島崎酒造まで出かけたなぁ~などと思い出しつつ、駅でぼんやり
過ごしました。



 14:45烏山発。また来た道を折り返すのが退屈な人もいますが、私の場合は逆の窓側に座るので、
ほとんど退屈しません。ただこの時期、日差しの向きによっては忍耐が必要になります。ちょっと
日が傾いてきた15:26宝積寺着。ラッシュ時に備えた増結作業を眺めて、15:34宇都宮行きに乗車、
15:46宇都宮着。

 餃子の駅弁はなくなりましたが、駅弁発祥の地と言われる宇都宮で「とりめし」を購入。ここからは
グリーン車で帰宅します。駅弁を買う機会も減りましたが、駅弁が食べやすい環境も減りました。

 宇都宮15:59発の列車は上野行き、湘南新宿ライン列車は小金井で乗り継ぐことになります。
この旅で最初で最後、列車の中で駅弁とビールを味わいながら、夕暮れの風景を眺めながら、
また日常へと戻っていくのです。

 「・・・洗濯は明日でいいや・・・」

2009年8月27日木曜日

パラダイス(いろんな意味で)

 さて旅行を存分に楽しみましたが、そろそろ宿を決めなければなりません。一計を案じ
磐越西線のあかべぇ電車に乗ってみます。目指すは15kmほど離れた温泉地「磐梯熱海」。
16:57分磐梯熱海駅着。おあつらえ向きに「駅事務所で宿泊ご案内します」とあります。

 ネットや電話での予約ももちろんしますが、今回の場合いわきでの宿泊も考えていたので、
ほとんど飛び込みの形になりました。気ままな一人旅にも限度はありますが、よく使う方法です。
駅やバス・タクシーの営業所、観光協会や旅館組合の案内所は観光客への顔で、地元業者とは
持ちつ持たれつなので、顔を潰したりするようなことはまずありません。

 降車客を見送ってから、出改札の駅員さんにお願いしてみます。
「今から宿をお願いできますでしょうか」
「ちょっとまってくださいね(何だコイツ胡散臭い・・・)予算はどれくらい?」
「お酒も少々いただいて、ぬ万え千円ぐらいで済むといいのですが・・・?」
 急に活き活きと電話をかける駅員さん。そんなに貧相に見えましたか?それなりに温泉旅館を
楽しむにはこれぐらい見ておいたほうが良いと、思っただけですが・・・。
「磐梯熱海駅デスお世話になってます。今からお一人、ウンウン、ぬ万う千円ネ」
「それでお願いします」


磐梯熱海駅



 私も接客販売が長いのでよくわかります。こんな上客逃すものかという勢い。観光地の駅は
それほど儲かりません。大体のお客はあらかじめ切符を買ってくるからです。帰りに新幹線などの
特急券を売るのが精一杯なのです。それでも観光地の顔として地元と観光客に喜んでもらおうとする
喜びが奮い立たせるのです。私の身なりが貧相なだけで、実に立派な駅員さんです。

 話がまとまると駅員さんは窓口を出て案内してくれました。駅からはっきり見えます。
 栄楽館 http://www.eirakukan.jp/
予備知識無しで来ましたが、『おもてなし』に独特のやり方で力を注いでいるようです。
「これは生半可ではない」去年の冬に泊まった
雲仙観光ホテルhttp://www.unzenkankohotel.com/
のような歴史の重みはありませんが、もてなす心では負けていないでしょう。

 なにはさておき温泉です。早速着替えて・・・えーと、窓を開けると正面にはまさに山紫水明。
下には・・・磐越西線!うぬぅ(知人に、プロのお勧めだけのことはあると言われました)。

 風呂~~メシ~~。そして、時刻表を確認してまたお風呂~~
7階の露天風呂から磐梯熱海駅が見えます。鉄道旅行中ですから、鉄道に生活を制限されるのですが、
まさか風呂までとはwwwwよもや全裸で電車を見送ることになろうとはwwwwぱらだいす~!

美女と鉄オタ

 9:09上菅谷到着。このまま乗り続けても良いのですが、途中下車しました。
ホームからはニコンの生産子会社、水戸ニコンプレシジョンが見えます。が、
これは今回の旅とは関係ありません。ひとつは20分後に支線の常陸太田発の
水戸行きがあること、さらにその後に水戸発常陸太田行きの列車があり、これで
常陸太田まで往復しても、今後のスケジュールには支障をきたさないのです。

 9:23常陸太田行き到着。ホームに向かうとおばちゃんが「これどこ行くの?」と訊ねてきます。
「どこ行くの?これは大田だよ?水戸だったらあっち」

地元民が旅行者に聞くなwwwわかりにくいんですけどね。

 常陸太田までの支線を往復してくると、こんな光景になります。左から、常陸太田-上菅谷
往復列車、常陸大子行き、水戸行き。ワカランでしょう。
 10:56水戸着。お昼を買って常磐線下り列車に乗ります。一本あとの水戸始発いわき行きでも
良いのですが、最近は常磐線もロングシートが増えてきたので、乗車しながら、駅弁を楽しみ
ながらの旅がやりにくくなっているのです。いっそこの列車の終点の高萩まで行って、本来
乗るべき列車を待ちなが昼食にしようと思ったのです。
 インバータを乗せ換えた501系電車は快調に走り続けます。ん?なんかかゆい。
どうして真昼間に、電車の中で蚊に刺されますか!?爪で×印をつけながら11:56高萩着。

 ビクッ!12時の工場のサイレンが鳴りました。廃車回送された京浜東北線209系電車を眺めながら、
水戸駅で買った「とんちゃん」を味わったり、インバータを乗せ換えていない501系の走行音を聞いたり、
午餐のひと時を送りました。

 12:09いわき(旧:平)行き発車。勿来の関を越えて再び福島県に入りました。13:05いわき着。
8分の待ち合わせで磐越東線郡山行きが発車します。
 絶景とまではいえないものの、紅葉の時期にはさぞ美しかろうという山中へ分け入り、13:56
小野新町到着。このまま乗り続けても良いのですが、15:28にも折り返し郡山行きがあります。
ここまで順調に来たので、ぶらり途中下車の旅をして見ましょう。


 数人が降りましたが私が駅周辺をふらついている間に消え去り、タクシーも暇そうです。
この侘びしさは暑さだけのせいではありますまい。駅前の案内看板を眺めてみましょう。
 ・・・小野小町生誕の地?リカちゃんキャッスル?
やっぱり下調べをしておいた方が良かったのでしょうか?いい年こいた鉄オタ男性が一人、
リカちゃんキャッスルを見学する姿は、我ながら鳥肌が立ちますので止めておいて、
小野小町生誕の地へ行ってみましょう。



 ・・・なんかこう、もう少し盛り上げているのかと思いきや、質素です。これで町おこしだ!ドーン!を、
やってあきらめたのか、元からやらなくてもいいと考えたのか、夏の日を一杯に浴び碑は佇んでいました。 

 リカちゃんキャッスル
 
http://www.liccacastle.co.jp/



 小野新町駅を発車したいわき行き

 15:28発の折り返し郡山行きの乗客は私のほかに一人でした。それでも下校する高校生が増え始め、
立ち客が目立ち始めた16:19郡山着。10時間あまりで一周してきました。

 コインロッカーから荷物を取り出して、「今夜はどこに泊まろうか」・・・・・・えっ?!

水郡線~目の覚める濃緑

 夜行バスの車内は、ほのかに足元灯が光る以外は真っ暗です。カーテンの隙間から洩れる
道路灯の明かりもだんだん少なくなり、半睡の脳では快調なエンジン音以外を感じなくなりました。
これでは周りの人の迷惑になるので、身動きできません。どこだか確かめられませんでしたが、
20分ほどの休憩と1時間ほどの休憩が、それぞれ一回ありました。休憩と断じるのは間違っている
かも知れません。約1時間の停車は4:00過ぎまで続きましたから、郡山駅到着への時間調整だとも
考えられます。寝たり起きたりを繰り返して4:47分郡山駅到着。朝の冷気が目を覚ませてくれました。


早朝の郡山駅



 郡山駅には夕方に戻ってくる予定ですので、着替えなどをコインロッカーに預け、駅前のコンビニで
朝食を買ってから、5時半に改札口を通過しました。いよいよ2日に渡る鉄道旅行のスタートです。



 水郡線の主となったキハE130型はすでにアイドリングを開始して、乗客を待っていました。
いつもお世話になっている東海道線や横須賀線のE127系やE231に乗っているような錯覚を覚えますが、
ローカル線に古びた車輌を求めるのは、身勝手かもしれません。
 ホームのベンチで朝食のサンドイッチを食べていると、各線の始発列車が並びだしました。


磐越西線始発の会津若松行き(左)と、東北本線始発の福島行き


 あかべこをモチーフにしたマスコット「あかべぇ」の電車は、夕方にお世話になります。

 水郡線620D列車は6:06定刻どおり郡山駅を発車。なんなんですかこの加速度は!加速Gで
体が傾くのがはっきりわかります。地元京急の800型電車に乗っているような気分です。
安積永盛まで線形の良い東北本線をぶっ飛ばし、いよいよ水郡線へはいります。水戸と郡山を
結ぶので、水郡(すいぐん)線ですが、正式には水戸~安積永盛が水郡線です。

 濃密な緑。森と少し黄色味を帯びてきた水田の中を強力な新鋭気動車は軽やかに走ります。
夏休みが終わった学校があるのか、学生の乗降を何度も眺め、福島茨城県境の渓谷美を眺めて、
緑の濃さに圧倒されました。


 7:58常陸大子着。水郡線の主要駅の一つとして車輌基地と美しい風景に囲まれた駅です。


 計画では、ここで途中下車して一本遅らせても構わないことになっています。一時間半を有効利用できる
自信はありますが、12分間で気分転換できたので、そのまま乗り続けることにしました。
 水戸に近づくにつれ、水戸の生活圏に入ってきたのでしょう。立客が出るほど混雑し始めたところで、
9:09上菅谷に到着しました。水戸~上菅谷~常陸太田は既に乗車済みですので、これで水郡線完乗です。

2009年8月26日水曜日

お得ゆえの強行軍

 以前から人気商品だったJR東日本のツーデーパスに今年、私鉄三セク五線、東京湾フェリーと
フェリー港へのバスまで、フリー区間に含まれるようになりました。そして夏休み期間中は、
土日に限らず平日も使用可能。これを活用してどこに行こうかと色々考えました。
 JR東日本 ツーデーパスの紹介ページ
 http://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?mode=top&GoodsCd=1470

 一番遠いのは福島県のいわきと郡山を結ぶ磐越東線。この線はまだ乗っていませんし、
郡山に行くのなら、福島県側が未乗の水郡線にも乗ってみたい。ツーデーパスなら可能ですが、
横浜市内の我が家からの往復に新幹線や特急を使っても、二日で両方乗るのが精一杯です。

 郡山から水郡線の始発に乗ると、水戸といわきを経由して9時間弱で一周して郡山に戻れることは
わかっています。前日に郡山に泊まっても良いのですが、郡山まで半日必要になるのが不満です。

 距離が近いので、まさかあるとは思っていませんでした。横浜・東京から郡山・福島行きの
夜行高速バスが出ています。郡山着は早朝(未明)4:50なので、6:06発の水郡線始発に余裕を
持って乗ることが出来ます。早速ファミリーマートで乗車券を購入してきました。
(便利になったものだ)

 自宅で夕食と入浴を済ませて家を出ます。発車の1時間ほど前に横浜駅東口バスターミナルに
到着。乗り場を確かめてから夜食を買うために一旦離れて、20分前に改めて乗り場へ向かいます。

 程なくツバメのマークのJRバスが到着・・・え?ダブルデッカー(二階建て)?そんなはずは・・・

西日本JRバスの臨時大阪便でした。さらに岩手県交通の盛岡便まで到着して時ならぬラッシュ。

私の乗るJRバス東北の郡山・福島便ははずれの方に停まる羽目になりました。


 到着が遅れましたが、乗客が5人なので発車に影響は無く定刻発車。すでにカーテンは全部閉められ、
照明も減光してあります。夜間とはいえ、時にはどこを走っているか見てみたくなるものですが、
三列シートの中間ではままなりません。それでも隣が空席なのをいいことに、手を伸ばしてカーテンを
めくってみました。横羽線をゆっくり走って東京駅に向かいます。

 発車23:59の2分ほど前に東京駅着。10人ほど乗り込んできてちょうど発車時刻と思いきや、
「一人遅れて来ますので、待ちます」
「・・・」
 結局15分ほど遅れての発車。すぐに照明が消されて、真っ暗になった車内で考えます。

 ・・・このぐらいの遅れで影響が出るようなダイヤは組んでいない。横浜~福島がダイヤ上でおよそ
7時間だから、運転士の勤務時間は8時間を少し過ぎるくらい。そういえば途中で乗務員の休憩のため、
停車するって言っていたな。お客は外に出られないけど。トイレがあるのはそのためか。きっと、
トイレ休憩で乗り遅れがあったのだろうな。閉じ込められてる気分になってき・・・ZZZZzzz

2009年8月23日日曜日

ヘンな鉄道(駅、その一)

 今年開業120年を迎えた横須賀線。歴史の長さが関係あるのか、ちょっと変わった駅があります。
有名なのが『階段が無い』横須賀駅。『改札口までホームが300m』北鎌倉駅。そして、今回
紹介する『トンネルに挟まれた』田浦駅。軍港横須賀の北の玄関口として作られました。今も
自衛隊横須賀病院の最寄り駅で、自衛隊や米軍の施設が多くあり、少し離れた京浜急行安針塚駅も
「軍需部前」という露骨な駅名で開業しています。

 昔は列車編成が短かったのですが、需要にこたえるために輌数を増やしホームも伸ばしているうちに、
トンネルにぶつかりました。トンネルの口と口の距離、百九十数メートル。
11両編成の電車は1輌目全部と2輌目の一部をトンネルに突っ込んで停車します。



 横須賀線を走る10両編成以上の列車は、トンネル内の車輌のドアを閉めたまま、ほかのドアの開閉をする
切り替えスイッチ(通称:田浦スイッチ)を装備しています。ほかの駅で誤作動して大騒ぎになった
現場に出くわしたことも、いい思い出(!?)です。