2012年2月6日月曜日

北東北旅行記(1)

1日目 2012年2月2日 横浜~角館

 東京駅は日本の鉄道の中心である。利用客数こそ新宿駅に追い越されて久しいが、東海道・山陽新幹線と東北・上越新幹線のターミナルということもあって、遠距離客数では大きく上回っている。その新幹線だが、神奈川県に住むワタクシは、のぞみが登場して停車列車が増えてからは新横浜駅を、湘南新宿ラインの運転が増えてからは大宮駅を、それぞれ新幹線への乗り換えに利用している。東京駅の混雑を嫌ってのことで、これはJR東海が品川駅を開業させたようにJR自体も緩和したい考えがあるようだ。新横浜駅や大宮駅も混雑してはいるが、東京駅ほどごちゃごちゃはしていない。新幹線特急料金が僅かだが安くなることもあるが、湘南新宿ラインではグリーン車を利用することも多いので、むしろ旅費総額では高くなっていたりする。

 2012年2月2日、湘南新宿ラインから大宮で新幹線に乗り継ぐべく、横浜駅10番線の横須賀線ホームに立った。予定どうりの7:34発2620E高崎行きに久々の旅行でグリーン車を奮発したが、混雑路線のラッシュ時には着席はかなわなかった。通路に立つこと十数分、武蔵小杉で席が空いたとGAに案内されて二階席に腰を据えた。埼京線の混雑の影響を受けて大宮には3分遅れで到着。
 時間は充分に余裕を持っているので、ゆっくりと新幹線改札へ向かう。喫煙所でのんびり煙を吐きだし、ホームに上って駅弁を物色。9:06発やまびこ53号の列に並ぶ。東京の発車時刻もちょうど良く、昼までに盛岡に到着する列車なので込み合っているかと思ったが、指定席は半分も埋まっていない。16分後に東京を発車するはやて19号に仙台で追い抜かれるダイヤなので、利用客が移っているのだろう。さらに、はやてが停車しない宇都宮や郡山と福島でビジネス客が降りて車内は閑散としてきたが、こんな時間に駅弁をぱくつきビールを飲んでいる旅行者としては、むしろ空いているほうがありがたい。那須塩原を通過するころから、遠くの山に積雪があるのがはっきりと判るようになる。やがて近くの地面も白く覆われだし、トンネルを通過するごとに雪化粧が徐々に積雪になっていく。福島を発車した時点ではまだ青空が見えていたが、白石蔵王が近づくころから雪が降り出し、時折激しく降る雪と列車が巻き上げる雪とで車窓は真っ白になり、何も見えなくなった。
 早朝に小山で信号機故障があり、そのあおりで通過するはずの小山で一旦停止を行ったことから、仙台には3分ほどの遅れで到着した。この仙台ではやて19号と接続するため、はやて乗り換え客が下りていった。仙台は雪が降っている。気になるのはこの先の雪だ。例年にない豪雪で各地で被害が出ていて、出発前日の昨夜は、青森県の国道で100台以上の車が雪で立ち往生しているというニュースがあり、今回はこの国道と並行して走る大湊線や、帰路にはここ数日間運休がつづいている寝台特急あけぼの号を旅程に組んでいる。ある程度余裕を持って計画を立てているが、この先臨機応変が必要になるかもしれない。この先盛岡まで各駅に停車するやまびこ53号は、盛岡まで無停車のはやて19号からの乗り継ぎ客を乗せて発車した。雪は小降りになり、くりこま高原ではふたたび青空が見えるようになったが、積雪はさらに深くなっていて、田畑のあぜ道がどこにあるのかすら判らなくなってきた。時刻どおりに快晴の盛岡に到着。

 空腹を感じなかったので、着替えなどが入ったバッグをコインロッカーに詰めて、こまち号の特急券を買いなおし、再び新幹線ホームに上った。寒いことは寒いが、晴れ渡った冬空のおかげで、寒さを辛く感じない。3021Mこまち21号は17分遅れで盛岡を発車した。雪の影響だそうだが、盛岡着が定時だったワタクシにはやや納得がいかない。わざわざ盛岡で特急券を買いなおした理由だが、秋田新幹線と名前はついているものの実質在来線特急である盛岡・秋田間のこまち号には、特定特急券で乗車できる。この区間は全席指定でも、特定特急券でグリーン車以外の空席に座ることが出来るのだ。要は自由席特急券として扱い、指定席特急券との差額500円分安く乗れることになっている。
 在来線特急になったこまち号は雪深い田沢湖線をゆっくり走る。物珍しさでずっと車窓を眺めていたが、まぶしさでだんだん目が痛くなってくる。単線運転も関係しているのかあまりダイヤは回復せず、15分近く遅れて角館に到着。少しは観光らしいこともしておこうと、武家屋敷を眺めることにしている。あまりに雪がひどいようだったら取りやめることも考えていた行程だったが、幸いにも晴れているので駅前の案内所で地図を貰い、雪を踏んで歩き出した。

 東北の小京都とも言われる角館の武家屋敷街は、雪に埋もれながらも凛とした端正なたたずまいを見せていた。新緑の季節にも紅葉の季節にも、また違った美しさを見せるであろう町並みに感嘆し、シャッターを切りながら歩き続け、ほぼ行き終わったかなと思ったところで屋敷を外から眺めていると、どうぞ中も御覧くださいと声をかけられた。偶然にも現存する最古の屋敷である石黒家で、その造りと歴史、武家の有り様に感心しながら展示を一つ一つ見ていった。礼を言って帰ろうとすると、雪のない季節にまたどうぞといわれる。1時間少々の滞在では失礼なほどの町で、本心からまた来ようと思った。
 来た道をまた歩いて駅に戻る。光の向きが逆になって、また違った見え方をしている。再びシャッターを切りながら歩いて、15時前に角館駅に戻る。田沢湖線の遅れはまだ回復していない。15:17発の普通840Mは9分遅れで発車し、そのまま遅れを引きずって盛岡に到着した。今夜の宿は駅からすぐのビジネスホテルを予約している。部屋で荷物を整理し、駅地下で晩酌と夕食を済ませ、早めに寝た。

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